マンション24時間換気を「止める」?住まいの健康を守るための完全ガイド

「マンションの24時間換気を止めても大丈夫?」電気代や寒さ、騒音などを理由に、そうお考えの方へ。本記事では、マンションの24時間換気システムを「止めるべきではない」理由を明確に解説。結露やカビ、シックハウス症候群から家族の健康を守る重要性、そして法律で定められた義務について深く掘り下げます。さらに、気になる電気代の節約術、冬場の寒さ対策、換気扇の音問題、花粉対策まで、具体的な解決策を網羅。快適で健康的な住まいを維持するための効果的な活用法と、正しいメンテナンス方法がすべて分かります。この記事を読めば、あなたの疑問が解消され、安心して24時間換気を使いこなせるでしょう。

目次

1. マンションの24時間換気システムとは

マンションにおける24時間換気システムとは、窓を開けることなく、機械の力で室内の空気を常に新鮮な状態に保つための設備です。このシステムは、私たちの健康を守り、快適な居住空間を維持するために非常に重要な役割を担っています。キッチンやお風呂の換気扇のように特定の場所の空気を一時的に入れ替える「局所換気」とは異なり、24時間換気システムは住まい全体の空気をゆっくりと継続的に循環させる「常時換気」を目的としています。

1.1 24時間換気の設置義務とその背景

マンションを含む多くの建築物において、24時間換気システムの設置は法律で義務付けられています。この義務化は、2003年(平成15年)に施行された改正建築基準法によるものです。

設置が義務化された背景には、主に「シックハウス症候群」が社会問題となったことがあります。 現代の住宅は、冷暖房効率を高めるために高気密・高断熱化が進んでおり、隙間風が入りにくく外気の影響を受けにくいというメリットがあります。しかし、その一方で、室内の空気がこもりやすくなり、建材や家具、日用品から発生するホルムアルデヒドなどの化学物質が室内に滞留しやすいという問題が生じました。 これらの化学物質が原因で、頭痛、めまい、吐き気、目の痛み、鼻水などの健康被害を訴える人が増え、「シックハウス症候群」として広く認知されるようになったのです。

このような状況を受け、国は居住者の健康を守るため、室内の空気を常に清浄に保つ目的で、機械換気設備の設置を義務付けました。具体的には、1時間あたりに部屋の空気の半分以上が入れ替わる(換気回数0.5回/h以上)性能を持つ換気設備の設置が求められています。

1.2 換気システムの種類と仕組み

24時間換気システムは、新鮮な外気を室内に取り込む「給気」と、汚れた空気を室外へ排出する「排気」を継続的に行うことで機能します。この給気と排気を機械で行うか、自然に行うかによって、主に以下の3つの種類に分けられます。

マンションでは、第三種換気が最も一般的ですが、近年では高気密・高断熱性能を持つマンションで第一種換気が採用されるケースも増えています。

種類 給気方式 排気方式 特徴 メリット デメリット
第一種換気 機械換気 機械換気 給気・排気ともに換気扇などの機械で行う方式。空気の流れを最も安定して制御できます。
  • 計画的な換気が可能で、換気性能が安定している。
  • 熱交換器を搭載できるタイプが多く、省エネ効果が高い。
  • 外気の影響を受けにくい。
  • 設備が複雑で、導入コストやランニングコストが高め。
  • フィルター交換などのメンテナンスが必要。
第二種換気 機械換気 自然排気 給気を機械で行い、排気を自然に行う方式。室内が正圧(外気より気圧が高い状態)になります。
  • 外からの汚れた空気やホコリが室内に侵入しにくい。
  • 一般住宅では結露が発生しやすいため、ほとんど採用されない。
  • 主にクリーンルームや病院の手術室などで用いられます。
第三種換気 自然給気 機械換気 給気を自然に行い、排気を換気扇などの機械で行う方式。室内が負圧(外気より気圧が低い状態)になります。
  • 設備が比較的簡易で、導入コストが低い。
  • メンテナンスが比較的容易。
  • 多くのマンションで採用されている。
  • 外気温がそのまま室内に影響するため、冬は寒く、夏は暑く感じやすい。
  • 外の風向きや気象条件によって換気量が変動することがある。
  • 給気口から花粉やホコリが侵入しやすい。

1.2.1 熱交換換気システムとは

第一種換気システムで採用されることが多い「熱交換換気システム」は、排気する室内の空気から熱(と湿度)を回収し、取り入れる新鮮な外気にその熱(と湿度)を移して供給する仕組みです。 これにより、冬場は冷たい外気を暖めて室内に供給し、夏場は暑い外気を冷やして供給するため、室温の急激な変化を抑え、冷暖房のエネルギーロスを大幅に削減することができます。

熱交換には主に「全熱交換」と「顕熱交換」の2種類があります。 全熱交換は温度と湿度の両方を交換するのに対し、顕熱交換は温度のみを交換します。 熱交換換気システムは、省エネ性能と快適性の向上に大きく貢献しますが、システム単体ではなく、住宅全体の断熱性能や気密性能との組み合わせでその効果を最大限に発揮します。

2. マンション24時間換気を止めるべきではない理由

マンションに設置されている24時間換気システムは、単なる快適性向上のための設備ではありません。住まいの健康と安全、そして建物の維持管理に不可欠な役割を担っています。 このシステムを停止することは、様々なリスクを招く可能性があるため、推奨されません。

2.1 結露・カビの発生を抑制する効果

マンションの室内では、日常生活の中で多くの湿気が発生します。例えば、料理をする際の蒸気、入浴後の浴室、洗濯物の室内干し、そして人間の呼吸や汗からも水分が放出されます。これらの湿気が適切に排出されないと、室内の湿度が上昇し、特に冬場には以下のような問題を引き起こします。

  • 結露の発生: 暖かく湿った空気が、外気で冷やされた窓ガラスや壁、押し入れの奥などの冷たい表面に触れると、空気中の水蒸気が液化して水滴となります。これが結露です。結露は、カーテンや窓枠、壁紙などに水分を供給し続けます。
  • カビの繁殖: 結露が発生しやすい場所は、カビにとって最適な繁殖環境となります。カビは見た目が不快なだけでなく、アレルギーや喘息の原因となる健康被害を引き起こす可能性があります。また、建材の劣化を早め、壁紙の剥がれや木材の腐食などを引き起こし、建物の寿命を縮める原因にもなります。

24時間換気システムは、室内の湿った空気を常時排出し、新鮮で比較的乾燥した外気を緩やかに取り込むことで、室内の湿度を適正に保ち、結露の発生を大幅に抑制します。 結果として、カビの繁殖を防ぎ、住まいの美観と構造を守る上で極めて重要な役割を果たしているのです。

2.2 シックハウス症候群から家族を守る

現代のマンションは高気密・高断熱化が進んでおり、外部からの空気の侵入が少ない分、室内の空気が滞留しやすくなっています。この密閉された空間では、以下のような様々な有害物質が室内に蓄積しやすくなります。

  • 建材や家具からの化学物質: 新築やリフォーム後の建材、新しい家具などからは、ホルムアルデヒドやトルエン、キシレンといった揮発性有機化合物(VOC)が放出されることがあります。これらは接着剤や塗料、防腐剤などに含まれています。
  • 日用品からの排出物: 洗剤、芳香剤、消臭剤、殺虫剤、印刷インクなども、室内の空気質を悪化させる原因となります。
  • その他の汚染物質: タバコの煙、暖房器具から発生するガス、ペットのフケ、ダニの死骸、ハウスダスト、花粉なども室内に浮遊し、健康に影響を与える可能性があります。

これらの有害物質が室内に高濃度で蓄積されると、頭痛、めまい、吐き気、目の痛み、喉の刺激、鼻水、皮膚炎、呼吸器系の不調など、いわゆるシックハウス症候群と呼ばれる様々な健康被害を引き起こす可能性があります。 特に、免疫力の低い乳幼児や高齢者、アレルギー体質の方にとっては深刻な問題となり得ます。24時間換気システムは、これらの有害物質を含んだ室内の空気を継続的に排出し、フィルターを通して新鮮な外気と入れ替えることで、室内空気の汚染濃度を低減し、家族の健康を守る上で不可欠な役割を担っています。

2.3 法律で定められた換気の義務

24時間換気システムの設置は、快適性だけでなく、法律によって義務付けられています。日本では、2003年7月1日に施行された改正建築基準法により、全ての新築住宅および増改築された住宅に対して、24時間換気システムの設置が義務化されました。

この法律の背景には、高気密化された住宅におけるシックハウス症候群の発生が社会問題となったことがあります。国土交通省は、シックハウス対策の一環として、機械換気設備による常時換気を義務付けることで、室内の空気環境を健康的に保つことを目的としています。具体的には、建築基準法第28条の2(居室の換気)および関連告示によって、居室の空気は0.5回/時間以上の換気回数(2時間に1回以上の空気の入れ替え)が確保されるよう定められています。

この義務化は、単にシステムを設置するだけでなく、そのシステムを適切に稼働させることで初めて効果を発揮します。したがって、24時間換気システムを停止することは、法律が求める住宅の空気環境基準を満たさなくなる可能性があり、結果として法的な義務を履行していない状態と見なされることもあります。

以下の表は、建築基準法における換気義務の概要を示しています。

項目 内容
義務化の時期 2003年7月1日施行
根拠法令 建築基準法第28条の2(居室の換気)および関連告示
対象 全ての新築住宅、および増改築された住宅の居室
目的 シックハウス対策として、室内の空気環境を健康的に保つため
換気回数の目安 0.5回/時間以上(部屋の空気が2時間に1回以上入れ替わる計算)

この法律は、住む人の健康と安全を守るための重要な規定であり、24時間換気システムは、その目的を達成するための必要不可欠な設備であることを理解しておくべきです。

3. マンション24時間換気に関するよくある悩み

24時間換気システムは快適で健康的な住環境を維持するために不可欠ですが、実際に暮らす中でいくつかの悩みに直面することも少なくありません。ここでは、マンションにお住まいの方がよく抱える換気システムに関する疑問や問題点、そしてその解決策について詳しく解説します。

3.1 換気扇の音がうるさい場合の対策

「換気扇の音が気になって眠れない」「生活音が大きくなる」といった騒音の悩みは、24時間換気システムによく聞かれる声の一つです。騒音の原因は多岐にわたるため、まずはその原因を特定し、適切な対策を講じることが重要です。

3.1.1 騒音の主な原因

  • フィルターの汚れや目詰まり: フィルターが汚れると空気の流れが悪くなり、ファンに負荷がかかって運転音が大きくなることがあります。
  • ファンの劣化や故障: 長期間の使用により、ファンのモーターやベアリングが劣化し、異音が発生することがあります。
  • 設置不良や部品の緩み: 換気扇本体やダクトの設置が不十分であったり、固定部品が緩んでいたりすると、振動音が伝わりやすくなります。
  • 外部からの音の侵入: 換気口を通じて外部の騒音が室内に侵入しているケースもあります。

3.1.2 具体的な対策

騒音を軽減するための具体的な対策は以下の通りです。

  • フィルターの清掃・交換: まずは、給気口や排気口のフィルターを定期的に清掃・交換してください。これにより、空気の流れがスムーズになり、ファンの負荷が軽減され、音が静かになることがあります。特に、ホコリや油汚れがひどい場合は、速やかに清掃することが効果的です。
  • 運転モードの確認: 多くの換気システムには、強・中・弱などの運転モードがあります。就寝時など、特に音が気になる時間帯は、「弱」モードに切り替えることで騒音を軽減できる場合があります。ただし、必要換気量を確保するため、長時間の「弱」モード運転には注意が必要です。
  • 防振材の設置: 換気扇本体やダクトの振動が壁や天井に伝わって共鳴している場合は、防振ゴムや防振シートなどを挟むことで振動音を抑えられることがあります。
  • 専門業者への相談: フィルター清掃やモード調整で改善しない場合、ファンの故障や設置不良が原因である可能性が高いです。その際は、マンションの管理会社や専門の設備業者に相談し、点検や修理を依頼しましょう。無理に自分で分解しようとすると、故障の原因となるだけでなく、保証の対象外となる可能性もあります。

3.2 冬場の乾燥や寒さへの対処法

冬場に24時間換気システムを稼働させると、「室内の空気が乾燥する」「外気が直接入ってきて寒い」と感じることがあります。しかし、だからといって換気を止めてしまうと、結露やカビ、シックハウス症候群のリスクが高まるため、適切な対策が必要です。

3.2.1 乾燥・寒さの原因と影響

  • 外気の取り込み: 冬場の外気は湿度が低く、そのまま室内に取り込まれることで室内も乾燥しやすくなります。
  • 熱の排出: 換気によって室内の暖かい空気が排出され、冷たい外気が取り込まれるため、室温が下がりやすく、寒さを感じやすくなります。
  • 健康への影響: 乾燥は喉や肌の不調、ウイルスの活動を活発化させる原因となり、寒さは体調不良を引き起こす可能性があります。

3.2.2 具体的な対策

乾燥や寒さを和らげながら、換気効果を維持するための対策は以下の通りです。

  • 加湿器の活用: 最も手軽で効果的な対策は、加湿器を設置することです。特に、加湿機能付きの空気清浄機を併用すると、湿度管理と空気質の向上が同時に図れます。適切な湿度は40%~60%とされています。
  • 全熱交換型換気システムの確認: お住まいのマンションの換気システムが「全熱交換型」であるかを確認してください。全熱交換型換気システムは、排気する空気から熱と湿度を回収し、給気する空気に移して室内に戻すため、冬場の熱損失や乾燥を大幅に抑制する効果があります。もし導入されている場合は、その機能を最大限に活用しましょう。
  • 給気口の調整: 給気口には風量調整機能が付いている場合があります。冬場に寒さを強く感じる場合は、一時的に給気量を絞ることも可能ですが、完全に閉じてしまうと換気不足になるため注意が必要です。
  • 断熱対策の強化: 窓からの冷気の侵入を防ぐために、厚手のカーテンを使用したり、窓に断熱シートを貼ったりするのも有効です。これにより、室内の熱が逃げにくくなり、暖房効率も向上します。
  • 暖房器具との併用: 換気による室温低下を補うために、エアコンやヒーターなどの暖房器具を適切に活用しましょう。

3.3 電気代を節約したいときのポイント

24時間稼働している換気システムは、電気代が気になるという方もいるでしょう。「少しでも電気代を抑えたい」という気持ちから、換気を止めてしまうのは健康リスクを高めるため避けるべきです。賢く節約するためのポイントを押さえましょう。

3.3.1 電気代節約の基本

24時間換気システムの電気代は、一般的にそれほど高額ではありません。機種や運転モードにもよりますが、月に数百円程度が目安となることが多く、家電製品の中では消費電力が低い部類に入ります。しかし、少しでも節約したいという方のために、以下のポイントがあります。

節約ポイント 具体的な内容 期待できる効果
フィルターの定期的な清掃・交換 フィルターが目詰まりすると、ファンがより多くの電力を使って空気を吸い込もうとします。定期的に清掃・交換することで、ファンの負荷が軽減され、無駄な電力消費を抑えられます ファンの効率維持、電力消費の抑制
適切な運転モードの選択 多くのシステムには「強」「中」「弱」などのモードがあります。必要以上に「強」モードで運転しないことで、消費電力を抑えられます。ただし、換気量が不足しないよう注意が必要です。 状況に応じた電力消費の最適化
全熱交換型換気システムの活用 全熱交換型システムは、排気時に回収した熱を給気に戻すため、冷暖房負荷を軽減し、結果的に冷暖房の電気代節約にも繋がります。 冷暖房費を含めた総合的な省エネ
換気システム以外の省エネ対策 換気システム自体の電気代は大きくないため、照明をLEDに交換する、家電製品を省エネタイプに買い替えるなど、他の家電の省エネ対策の方が大きな節約に繋がる場合が多いです。 家庭全体の電気代削減

電気代を気にしすぎるあまり、換気を止めてしまうと、カビの発生による修繕費用や健康被害による医療費など、結果としてより大きな出費につながる可能性があることを理解しておきましょう。

3.4 花粉やホコリの侵入を防ぐには

24時間換気システムは新鮮な空気を取り込む一方で、「花粉やPM2.5、外部のホコリが室内に入ってくるのではないか」という懸念を持つ方も少なくありません。特にアレルギー体質の方にとっては深刻な悩みです。しかし、適切な対策を講じることで、これらの侵入を最小限に抑えることが可能です。

3.4.1 侵入経路と対策の必要性

  • 給気口からの侵入: 24時間換気システムの給気口は、外部の空気を直接取り込むため、フィルターが不十分だと花粉やホコリが侵入する可能性があります。
  • 窓開け換気との併用: 24時間換気システムが稼働しているにもかかわらず、花粉の時期に窓を開けて換気を行うと、大量の花粉が室内に侵入してしまいます。

3.4.2 具体的な対策

花粉やホコリの侵入を効果的に防ぐための対策は以下の通りです。

  • 高性能フィルターへの交換: 多くの24時間換気システムには、標準で粗いフィルターが装着されています。これを花粉やPM2.5に対応した高性能フィルター(例:HEPAフィルター相当品や捕集効率の高い不織布フィルター)に交換することで、侵入する微粒子を大幅にカットできます。フィルターの性能は、その捕集効率によって異なります。
  • フィルターの定期的な清掃・交換: 高性能フィルターであっても、汚れて目詰まりすると捕集能力が低下します。メーカーが推奨する頻度、またはそれよりも短いスパンで定期的に清掃・交換を行うことが非常に重要です。特に花粉シーズン中は、こまめなチェックを心がけましょう。
  • 窓開け換気の制限: 花粉飛散量が多い時期や、外部のホコリが多い日には、極力窓を開けずに24時間換気システムに任せることで、花粉やホコリの侵入を効果的に防ぐことができます。どうしても窓を開けたい場合は、飛散量の少ない早朝や夜間、短時間にとどめましょう。
  • 空気清浄機の併用: 24時間換気システムと合わせて、高性能な空気清浄機を室内に設置することも有効な対策です。換気システムで取りきれなかった微細な粒子を空気清浄機で捕集することで、よりクリーンな室内環境を維持できます。
  • 給気口周辺の清掃: 給気口のカバーやその周辺に付着した花粉やホコリも、風によって室内に舞い込むことがあります。定期的に拭き掃除を行うことで、これらの侵入源を減らすことができます。

4. マンション24時間換気を効果的に活用するコツ

マンションに設置された24時間換気システムは、ただ稼働させているだけではその効果を最大限に発揮できません。適切なメンテナンスと他の換気方法との組み合わせによって、より快適で健康的な室内環境を保つことができます。ここでは、24時間換気システムを賢く使いこなすための具体的なコツをご紹介します。

4.1 給気口と排気口の正しいメンテナンス

24時間換気システムは、外部から新鮮な空気を取り込む「給気口」と、室内の汚れた空気を排出する「排気口」で構成されています。これらの開口部が汚れていたり、詰まっていたりすると、換気効率が著しく低下し、本来の性能を発揮できません。

給気口には、外からのホコリや花粉の侵入を防ぐためのフィルターが内蔵されていることがほとんどです。このフィルターが目詰まりすると、空気の取り込み量が減少し、室内の換気が不十分になります。また、排気口周辺には、室内のホコリや油煙などが付着しやすく、これも換気効率を妨げる原因となります。

4.1.1 メンテナンスの頻度と方法

給気口と排気口のメンテナンスは、少なくとも数ヶ月に一度、可能であれば月に一度行うことが理想的です。特に、交通量の多い道路に面している場合や、料理を頻繁にする場合は、よりこまめな清掃が推奨されます。

部位 推奨されるメンテナンス頻度 具体的な清掃方法
給気口(フィルター含む) 1ヶ月~3ヶ月に1回
  • カバーを取り外し、表面のホコリを掃除機で吸い取る。
  • フィルターが洗えるタイプであれば、中性洗剤で優しく水洗いし、よく乾燥させてから戻す。
  • 洗えない使い捨てタイプの場合は、新しいフィルターに交換する。
  • 内部のルーバーや網部分も、固く絞った布で拭き取る。
排気口(浴室、トイレ、キッチンなど) 3ヶ月~6ヶ月に1回
  • カバーを取り外し、付着したホコリや油汚れを掃除機で吸い取るか、拭き取る。
  • 頑固な汚れには、住宅用洗剤を薄めて使用し、しっかりと拭き取る。
  • ファン部分にまで汚れが及んでいる場合は、取扱説明書に従って清掃するか、専門業者に依頼することを検討する。

これらのメンテナンスを怠ると、換気能力の低下だけでなく、カビやダニの発生、さらには電気代の増加にも繋がりかねません。定期的な清掃で、常にクリーンな空気循環を保ちましょう

4.2 フィルターの定期的な交換時期

24時間換気システムにおいて、フィルターは外部からの汚染物質の侵入を防ぎ、室内の空気を清浄に保つ上で極めて重要な役割を担っています。しかし、フィルターは使用するにつれてホコリや花粉、PM2.5などの微粒子で目詰まりし、その性能は徐々に低下していきます。

フィルターが目詰まりすると、以下のような問題が発生します。

  • 換気能力の低下:新鮮な空気が十分に取り込まれなくなり、室内の空気質が悪化します。
  • 電気代の増加:目詰まりしたフィルターでは、換気扇がより多くの力を使って空気を吸い込もうとするため、消費電力が上がります。
  • 異音の発生:換気扇に負担がかかることで、運転音が大きくなることがあります。
  • カビや雑菌の繁殖:フィルターに蓄積されたホコリや湿気が、カビや雑菌の温床となる可能性があります。

4.2.1 交換時期の目安と購入方法

フィルターの交換時期は、製品の種類や使用環境によって異なりますが、一般的には3ヶ月から半年に一度が推奨されています。特に、花粉の飛散時期やPM2.5の濃度が高い時期は、フィルターの汚れが早まる傾向にあるため、こまめな点検が必要です。

フィルターが汚れているかどうかの判断は、目視で確認するのが最も確実です。フィルターが黒ずんでいたり、ホコリがびっしり付着している場合は、すぐに交換しましょう。一部の換気システムには、フィルター交換時期を知らせるランプが点灯するものもあります。

交換用フィルターは、マンションの管理会社やメーカーのウェブサイト、家電量販店などで購入できます。購入する際は、お使いの換気システムの型番やフィルターのサイズを正確に確認することが重要です。

4.3 窓開け換気との組み合わせ方

24時間換気システムは、常に一定量の換気を行うことで室内の空気質を維持するものです。しかし、より短時間で集中的に空気を入れ替えたい場合や、特定のニオイを素早く排出したい場合には、窓開け換気を併用することが非常に効果的です。

窓開け換気には、以下のようなメリットがあります。

  • 短時間で効率的な換気:部屋の空気を一気にリフレッシュできます。
  • 特定のニオイの除去:料理のニオイや来客時の生活臭などを素早く排出できます。
  • 湿気対策:浴室使用後や雨の日の室内干しなどで高まった湿度を効率的に下げられます。

4.3.1 効果的な窓開け換気のポイント

窓開け換気を効果的に行うためには、いくつかのポイントがあります。

  • 対角線上の窓を2ヶ所開ける:空気の通り道を作り、効率的な換気を促します。風の入り口と出口を意識しましょう。
  • 開ける窓の大きさと時間:大きく開ければ開けるほど、短時間で換気が完了します。5分から10分程度でも十分に効果があります。
  • 季節や時間帯を考慮する
    • 春・秋:比較的快適な気候のため、積極的に窓開け換気を行いましょう。
    • :日中の暑い時間帯を避け、朝夕の涼しい時間帯に行うと、室温の上昇を抑えられます。
    • :暖房効率を考慮し、短時間で集中的に行いましょう。暖房を切ってから行うのが理想的です。
    • 花粉シーズン:花粉の侵入を最小限にするため、窓開けの時間を短くしたり、換気量を調整したり、網戸や花粉フィルターを活用したりすることが推奨されます。空気清浄機との併用も効果的です。
  • キッチンの換気扇との併用:料理中はレンジフードを最大にして、窓を少し開けることで、煙やニオイを効率的に排出できます。

24時間換気システムが常に稼働している状態でも、定期的に窓開け換気を加えることで、より質の高い室内環境を実現できます。両者のメリットを理解し、状況に応じて使い分けることが、快適なマンションライフを送るための秘訣です。

5. マンション24時間換気に関するQ&A

5.1 賃貸マンションでの注意点は

賃貸マンションにお住まいの場合、24時間換気システムの取り扱いにはいくつかの注意点があります。特に、システムのメンテナンスや故障時の対応については、入居者と管理会社・大家との間で責任範囲が異なることがあるため、事前に確認しておくことが重要です。

項目 内容
入居者の責任範囲

24時間換気システムのフィルターは消耗品と見なされることが多く、定期的な清掃や交換は入居者の負担となるのが一般的です。 給気口や排気口の見える範囲の清掃も、日常的なメンテナンスとして入居者が行うべきとされています。 メンテナンスを怠ると、換気効率の低下やカビの発生、さらには退去時の原状回復費用を請求される可能性もあるため注意が必要です。

管理会社・大家への連絡

換気システムから異音がする、換気能力が著しく低下した、エラー表示が出ているなど、故障が疑われる場合や、自身での対応が難しい問題が発生した際には、速やかに管理会社または大家に連絡しましょう。 特に、マンションの共有部分に関わる修理や交換(例えば共用ダクトに接続されている場合など)は、管理組合の承認が必要となるケースもあるため、自己判断で業者を手配する前に必ず相談してください。

システム変更・停止

2003年以降に建築されたマンションには24時間換気システムの設置が義務付けられていますが、その稼働義務までは法律で明文化されていません。 しかし、システムを停止することで結露やカビの発生、シックハウス症候群のリスクが高まるなど、健康や建物の維持に悪影響を及ぼす可能性があります。 また、賃貸契約書や重要事項説明書に24時間換気の停止を禁じる条項が含まれている場合もあり、契約違反となる可能性もあるため、安易な停止は避けるべきです。

退去時の対応

退去時には、入居時の状態に戻す「原状回復」が求められます。24時間換気システムのフィルターや給気口・排気口に著しい汚れや破損がある場合、クリーニング費用や交換費用を請求されることがあります。 日頃から適切な清掃とメンテナンスを行い、トラブルを未然に防ぎましょう。

5.2 故障かなと思ったらどうする

24時間換気システムは、住まいの健康を守る重要な設備です。もし故障の兆候が見られた場合は、早めの対応が肝心です。まずは落ち着いて状況を確認し、適切な手順で対処しましょう。

確認事項 対応
一般的な故障の兆候

以下のような症状が見られる場合、故障の可能性があります。

  • 異音の発生:普段と異なる「キーン」「ゴー」「カタカタ」といった大きな音や振動がする。
  • 換気能力の低下:空気が滞留している感じがする、室内の湿気や臭いが排出されにくい。
  • システムの停止:電源が入らない、 intermittently停止する、または完全に動かない。
  • エラー表示:リモコンパネルにエラーコードが表示される。
自分でできる初期確認

専門業者に連絡する前に、以下の点を確認してみましょう。

  • 電源の確認:ブレーカーが落ちていないか、電源プラグが抜けていないかを確認します。
  • フィルターの状態:給気口や排気口のフィルターがホコリで目詰まりしていないか確認し、汚れていれば清掃または交換します。フィルターの目詰まりは異音や換気能力低下の主な原因となります。
  • 吸排気口の障害物:家具などで給気口や排気口が塞がれていないか確認します。
  • 風量設定:設定で風量が極端に弱くなっていないか確認します。
連絡先

初期確認で改善しない場合は、以下のいずれかに連絡しましょう。

  • マンションの管理会社または大家:賃貸物件の場合、これが最初の連絡先となります。修理の手配や費用の負担について指示を仰ぎましょう。
  • 設備のメーカー:リモコンパネルや取扱説明書に記載されているメーカーの問い合わせ窓口に連絡します。
  • 施工業者:新築から間もない場合や、施工時の保証期間内であれば、施工した工務店やハウスメーカーに連絡します。
自己判断での修理は避ける

24時間換気システムは電気配線が関わる設備であり、専門知識のない方が分解や修理を行うと、感電やさらなる故障の原因となる危険性があります。 また、保証期間内であれば、自己修理によって保証が無効になる可能性もあります。必ず専門家や指定された業者に修理を依頼しましょう。

緊急性の高いケース

焦げ臭いにおいがする、煙が出ている、水漏れが発生しているなど、火災や水害に繋がる可能性のある症状が見られる場合は、直ちにシステムの運転を停止し、安全を確保した上で、速やかに管理会社や専門業者に連絡してください。

6. まとめ

マンションの24時間換気システムは、結露やカビの発生抑制、シックハウス症候群の予防、そして法律で定められた義務として、住まいの健康と快適さを保つ上で非常に重要です。安易に止めてしまうと、これらの恩恵を失い、健康リスクや住環境の悪化につながりかねません。騒音や冬場の寒さ、電気代といった懸念点も、適切な対策や工夫を講じることで解決策があります。給気口・排気口のメンテナンスやフィルター交換を定期的に行い、窓開け換気と組み合わせることで、24時間換気の効果を最大限に引き出し、快適で健康的なマンションライフを送りましょう。

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